過払い金返還請求のQ&A
目次
Q1…「過払い金」って何ですか?
Q2…過払い金返還請求をすると、ブラックに載りますか?
Q3…過払い金を回収するまで、どのくらいの時間がかかりますか?
Q4…訴訟をした場合には、どのくらいの費用がかかりますか?
Q5…司法書士に頼めば、必ず全額回収できますか?
Q6…以前に一度完済した経験がありますが、完済以前の取引も過払いの計算の対象になりますか?
Q7…クレジット会社から借り入れていた場合は、過払いになることはありませんか?
Q8…契約書をなくしてしまっていても、過払い金請求はできますか?
Q9…過払い金請求をすると、どんなデメリットがありますか?
Q10…過払い金請求をすると、貸金業者から嫌がらせを受けませんか?
Q11…自己破産や個人再生をする場合でも、過払い金返還請求はできますか?
Q12…父が亡くなりました。遺品を整理していたら、父が長い間サラ金に返済をしていたことが分かりました。過払い金を請求できますか?
Q1…「過払い金」って何ですか?
→本来なら払う必要がないのに、貸金業者に多く払い過ぎたお金のことです。
消費者金融や信販会社では、上限金利(年15~20%)を超えた金利で貸付が行われていたことがありました。その間に上限金利を超えて払い過ぎた分を、「元本を支払ったもの」とみなしたうえで、計算をし直します(「利息の引き直し計算」と呼ばれます)。
引き直し計算をした結果、払いすぎた利息が多額になり、超過分を元本を払ったとみなしても、なお払い過ぎになっている場合には、その分の取り戻しを請求できます。これがいわゆる「過払い金」です。
Q2…過払い金返還請求をすると、ブラックに載りますか?
→原則的には載らないと思われますが、保証はできません。
債務が残った状態で債務整理の受任通知を送ると、返済に関する事故情報としてブラックの状態になります。
しかし、引き直し計算をして過払いになっていた場合には、事故情報とはしないよう、監督官庁からの指示があるようです。
したがって、過払い金返還請求をするようなケースでは、一般的にはブラックの状態にはならないと考えられます。
Q3…過払い金を回収するまで、どのくらいの時間がかかりますか?
→最短でも4~6か月程度かかります。
過払い金返還請求の依頼を受けると、すぐに受任通知を送り、消費者金融・信販会社などから取引の履歴を開示してもらいます。取引履歴が開示され、利息の引き直し計算が終わるまで、1~2か月程度かかります。
引き直し計算の後は、返還の請求をします。すぐに和解したとしても、返還されるのは3~5か月程度先になります。
したがって、最短でも4~6か月程度かかります。
もし、返還の合意ができずに過払い金返還訴訟をする場合には、さらに時間がかかります。1年程度かかることもあります。
Q4…過払い金返還訴訟をした場合には、どのくらいの費用がかかりますか?
→実費として、郵便切手代(7,000円程度)、収入印紙代(請求金額によって異なる)がかかります。
収入印紙代は10,000円以下になることが多いです。
その他には、司法書士の報酬がかかります。訴訟をせずに過払い金を返還してもらった場合には、返還額の20%が報酬になりますが、訴訟をして返還してもらった場合には、返還額の25%が報酬になります(5%分の違いがあります)。
裁判所に出廷した回数に応じて日当が加算される事務所もあります。当事務所では、過払い金返還請求訴訟に関しては、日当がかかりません。出廷の回数が増えても、追加の費用はいただきません。
また、司法書士報酬の「25%」についても、完全成果報酬としています。勝訴の判決を得ても、実際に返還されてこないケースでは、報酬はいただきません。
Q5…司法書士に頼めば、必ず全額回収できますか?
→全額の回収を約束することはできません。
もちろん、消費者金融・クレジット会社に対しては、過払い金の全額を返還するよう請求をします。
しかし、たとえ訴訟で勝訴判決を取ったとしても、相手の会社が倒産状態になっていれば、回収することは不可能です。
回収の可能性が高まるよう、差し押さえの手続き等の最善の策はつくします。
Q6…以前に一度完済した経験があります。完済以前の取引も過払いの計算の対象になりますか?
→原則的には対象になります。
利息の引き直し計算は、原則的に、借入を始めた時からの全ての取引を対象に行います。
ただし、完済してから再度の借り入れを始めるまでの期間が長くなってしまうと、完済前の取引について生じた過払い金が時効消滅してしまうこともあります。
全ての事情をうかがったうえで、貸金業者との交渉をしますので、ご相談の時に完済前の取引についても司法書士に伝えてください。
Q7…クレジット会社から借り入れていた場合は、過払いになることはありませんか?
→過払になることもあります。
過払い金が生じるかどうかは、「利息制限法の上限金利に違反した貸付を行っていたかどうか」にかかります。有名なクレジット会社(信販会社)からの借り入れでも、上限金利に違反しているケースがあります。その場合には、過払い金が発生することもあります。
依頼人様が「過払い金は発生しないだろうから、司法書士には言う必要がないだろう」と思っていたケースで、過払い金が発生した事例もあります。ご相談の際には、取引していた業者については全て教えてください。
Q8…契約書やカードをなくしてしまっていても、過払い金請求はできますか?
→できます。
契約書やカードを紛失しても、取引の記録は貸金業者に残っています。その記録を開示してもらい、過払い金の返還を請求します。
したがって、契約書やカードが手元になくても平気です。
Q9…過払い金請求をすると、どんなデメリットがありますか?
→返還請求をした業者からは、再度の借り入れを受けられなくなる可能性があります。
過払い金返還請求は、本来支払う必要のなかったものを返してもらう手続きなので、本来的にはデメリットは考えられません。
あえて挙げるとすれば、請求をしたその業者からは、再度の借入を受けられない可能性が高いことです。
その他に、信用情報に登録される(いわゆる「ブラック」の状態になる)可能性は否定はできません(可能性は低いと考えられます)。
Q10…過払い金請求をすると、貸金業者から嫌がらせを受けませんか?
→そのようなことはありません。
過払い金の返還請求をして、サラ金やクレジット会社から嫌がらせを受けたという事例は、聞いたことがありません。
Q11…自己破産や個人再生をする場合でも、過払い金返還請求はできますか?
→できます。
自己破産や個人再生をする場合には、過払い金は「債権」ですので、手続き上は「資産」として扱われます。通常は、自己破産・個人再生の申立ての前に、過払い金を回収します。
回収した過払い金の中から、自己破産や個人再生の申立て費用を出すケースもあります。
Q12…父が亡くなりました。遺品を整理していたら、父が長い間サラ金に返済をしていたことが分かりました。過払い金を請求できますか?
→できます。
亡くなったお父様がサラ金に長期間返済していた場合、過払いの状態になっていた可能性があります。過払い金も「債権」として、相続の対象になります。相続人の方から過払い金の返還請求をすることが可能です。
ただし、お父様の借り入れが過払いの状態になっているかどうかは、取引の履歴を調べてみないと分かりません。逆に借金が残るケースもあります。
借金が残った場合には、3か月以内に相続放棄の手続きをとれば、借金を相続しなくて済みます。